致命的なミス
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
ウォルターバクスターは、探偵推理小説の熱心な読者だったので、
叔父
の殺害には、どんなささいなミスも許されないことを知っていた。
そして、ミスをしないためには、シンプルイズベストだった。単純明
快なこと。見破られないアリバイ工作なんてない。複雑な手口もだめ。
赤のニシンなんてないのだ。
小さなニシンならいいかもしれない。とても小さなもの。
叔父の家に
どろぼうに入って、現金を盗み、殺人はたまたまだったことにする。さ
もなければ、ウォルターが唯一の相続人であるからすぐに疑われる。