ふくろぅ3兄弟
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
(
寓話風にアレンジ)
プロローグ
ふくろぅ3兄弟は、お母さんふくろぅといっしょに、森の真ん中の木
のうろに住んでいた。
「子どもたち」と、お母さん。「昼間は、絶対に、ぜったいに、外へ出
てはだめですよ!子どもが外へ出られるのは、夜だけ!お日さまが照っ
てるあいだはダメ!」
「はぁい」と、3兄弟。口をそろえて。
しかし子どもたちは内心では、なぜだめなのか一度ためしてみたかっ
た。
1
昼間はお母さんが見張っていたので、できなかった。しかしある日、
少しのあいだお母さんが巣を留守にした。
「やってみよう!」と、長男。次男に。
「なにをためらってるのさ!」と、末っ子。
3兄弟は、うろから、明るい日射しのなかへ出た。ふくろぅの夜用の
目は、まぶしくてほとんど見えなかった。
長男は、となりの木の枝にすわって、明るい日射しに目をまばたきし
た。
そのとき、木の下から「バン!」という音がして、弾丸が長男の尾の
羽を貫通した。
「ホォォォォォ!」と、長男。ハンターがまた撃つまえに、家に逃げ帰
った。
次男は、地面に降りた。まばたきを2回してから、まわりを見渡すと、
やぶの向こうから大きな赤ぎつねが来るのが見えた。
「ガゥゥゥゥゥ」と、赤ぎつね。次男にとびかかった。
「ホォォォォォ!」と、次男。すんでのところでにかわして、木のうろ
に逃げ帰った。
2
末っ子は、できるかぎり高く舞い上がった。翼が疲れたので、木のう
ろの家に降りる前に、一番上の枝にとまって休んだ。
下を見ると、大きなワイルドキャットが木の枝にいた。ワイルドキャ
ットは、上にいる末っ子のふくろぅには気づかず、木のうろの丸い黒の
穴を見ていた。その穴は、ふくろぅの家の穴だった。
「ホォォォォォ!」と、末っ子。自分に言ったので、ワイルドキャット
には聞こえなかった。家に安全に帰れる方法をさがした。
近くのとげの木を見つけ、飛んでいった。口ばしでとげを1本折ると、
しっかりくわえた。静かにもとの枝に戻ると、鋭いとげをワイルドキャ
ットのやわらかいお尻に力いっぱい突き刺した。
「エェェェェェォゥ」と、ワイルドキャット。体を起こそうと、ねじり、
ジャンプを3つ同時にやったので、枝から落ちた。頭が下の枝にあたり、
地面にいるハンターの頭にぶつかった。ハンターは銃を落とし、銃は
「バン!」といって、やぶに隠れていた赤ぎつねにあたった。
「ホォォォォォ!」と、末っ子。くちばしは、とげを強くくわえて力い
っぱい突き刺したので、ひどく傷ついていたが、そのときは気づかなか
った。
3
末っ子は、木のうろに帰った。
「今、ワイルドキャットとハンターと赤ぎつねを殺したよ!」と、末っ
子。兄たちに、誇らしげに。
「夢でも見たんだよ!」と、長男。
「たしかに夢だな!」と、次男。
「じゃ、夜になったら見せてあげるよ!」と、末っ子。
◇
ワイルドキャットとハンターは、気絶しただけだった。ワイルドキャ
ットはしばらくして起き上がると、逃げていった。ハンターは、目覚め
ると、銃が偶然しとめた赤ぎつねを見つけて、家に持ち帰った。
◇
夜がきて、3兄弟は、木の外へ出た。
末っ子は、ワイルドキャットとハンターと赤ぎつねを捜し回ったが見
つからなかった。
エピローグ
「ホォォォォォ!」と、末っ子。「兄ちゃんたちが正しいね。ぼくは夢
を見てたんだ!」
3兄弟は、日が照っている間は外へ出ないほうが安全だと、意見が一
致した。お母さんは正しかった。そう考えたのは、長男は、ハンターに
撃たれたからだった。次男は、赤ぎつねにとびかかられたからだった。
しかし末っ子は、だいたいはそう考えたが、見た夢が、彼のやわらか
い口ばしをひどく傷つけ、ものも食べられないほど痛んで、1日じゅう
空腹だったからだった。
教訓:昼間は家にいましょう。昼間の観劇は、トラブルのもと!
(終わり)