白日夢
原作:フレドリックブラウン
アランフィールド
プロローグ
それは、一見、単純な殺人事件のように始まった。それだけでも十分
悪かった。というのは、ロッドカクアが、カリストロ・セクター3の警
部補であった5年間で、最初の殺人事件だったからだ。
セクター3は、それが誇りだった。結局、その記録は、死んだガチョ
ウのようになってしまった。
しかし、事件が片付く前は、ロッドカクアほど幸せなやつはいなかっ
た。それが、宇宙的な広がりの連続殺人にならずに、ただの殺人事件に
とどまっていた限りでは。
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事件が始まったのは、ロッドカクアがブザーで起こされて、通話スク
リーンを見たときからだった。
スクリーンには、セクター3署長のバルマクソンが映っていた。
「おはよう、署長」カクアは嬉しそうに言った。「昨夜の会合のスピー
チは、良かった」
「サンクス、カクア」マクソンはさえぎった。「ウィリアムディームを
知ってるか?」
「本屋の店主の?ええ、少し」
「彼は死んだ」と、マクソン。「おそらく殺人だ。現場を見ておいた方
がいい」
カクアが質問する前に、スクリーンは消えた。
(つづく)
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