お手伝いさんはジーナデービス2
ロイドガーバー、マイケルJウェイトン
登場人物
エリス:キートン家の母、42、2階で出産療養中。(お休み)
スティーブン:父、44、テレビ局でドキュメンタリー番組を製作。
アレックス:兄、18、優秀な成績で、大学に進学。努力家タイプ。
マロリー:姉、16、勉強よりもファッションが得意。
ジェニファー:妹、13、子どもが生まれると、のけ者にされると心配。
カレン:背の高い女性、32、お手伝いさん。
プロローグ
キートン家のダイニングキッチン。朝。
テーブルに、マロリーとジェニファー、それに、スティーブン。
「お待たせ!」と、カレン。できたばかりの卵料理を、3皿、運んで来
た。
「ジェニファーは、っと」カレンは、皿の裏に貼った料理名を確かめた。
「ヒマラヤンブリーフエッグスだったわね!」ジェニファーの前に、皿
を置いた。
「マロリーは」と、カレン。やはり、裏のメモを見て「シューカイエッ
グス」マロリーの前に、皿を置いた。
「ありがとう」と、マロリー。
「キートンさんは」と、カレン。やはり、裏のメモを見て「ショッキン
グエッグス」スティーブンの前に、皿を置いた。
「わぁ、どうも」と、スティーブン。
3人は、出された卵料理をじっと見ている。
「あ、カレン」と、スティーブン。「見たところ、みんな同じスクラン
ブルエッグみたいだけど」
「そんな、バカな!」と、カレン。「それしか知らないの、でも、安心
して、ネーミングで、ますますおいしくなってるから!」
「最近、ニワトリの夢ばっかり」と、スティーブン。
1
「おはよう」と、アレックス。スーツ姿で入って来た。「マロリー、電
話なかった?」
「ないって、言ってるでしょ!」と、マロリー。
「あ。そうね、くせになちゃったんだ」と、アレックス。冷蔵庫をあけ
て、オレンジジュースを出した。「だから、電話は、あ、止まらなくな
っちゃった!」
「どうしたの?だれかから掛ってくるの?」と、マロリー。みんな、卵
料理に塩やコショウを振っていた。
「そう、かわいいスージーファーカスから掛ってくるの」と、アレック
ス。「きのう、大学のアルファクラブのダンスパーティに誘ったからね。
その返事が、もうじき返って来るという、そう言うわけ!だれか電話な
かった?あ、また、言っちゃった、わざとらしいか!」
「アレックス」と、ジェニファー。「そのクラブ入ってないのに、なん
で、ダンスパーティ行くの?」
「よくぞ、聞いてくれました」と、アレックス。「1年生から、めぼし
いのをピックアップして、パーティで入会テストするのよ」
「なんで、アルファクラブなんか入りたいの?」と、マロリー。「お金
持ちのキザな連中の集まりじゃない?名誉にお金に欲遊び、それしか頭
にないんだから!」
「それが、いいんじゃない!」と、アレックス。
「アレックス」と、カレン。「なにか作りましょうか?」
「あ、ごめんね」と、アレックス。「忙しくて、言うの、忘れてたけど、
今日も変わらず、すごくきれいだよ!」
「ありがと」と、カレン。
「毎日、言ってるよね?きのうは、言ったっけ?」
「ええ、聞いたわ」
「アレックス」と、スティーブン。食べ終わった皿を流しに運びながら。
「エクスタシーのあいだ悪いんだが、もう出掛けるぞ、いっしょに車で
行きたかったなら、急いでくれ!」
「あ」と、アレックス。「あと、2・3分待って、スージーが、8時ち
ょうどに電話するって言ってたから」
「そう言われて」と、マロニー。残した料理を、皿にまとめながら。
「なん人の女の子に、痛い目にあったか」
電話が鳴った。
「来た、来た、彼女ですよ」と、アレックス。オレンジジュースを一口
飲んで、電話に出た。
「ハロー、スージー、今、ジャスト8時よ、あれ、電話もらう約束して
たっけ?」
(第三_三_一話 つづく)