感想
            目次
         ¶1 「ザ・ハウス」について§
         ¶2 著者について§
         ¶3 作品について§
         ¶4 詩について§
         ¶5 SFノベルについて§
¶A−B=C§
 、。,.・:;?!゛゜´`¨^ ̄_ヽヾゝゞ〃仝々〆〇ー―‐/\
〜‖|…‥‘’“”()〔〕[]{}〈〉《》「」『』【】+−±×÷
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¶α−β=γ§
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 「ザ・ハウス」について━━━キーは存在しない
          ◇テレンスブレイク 2014年12月17日◇
 
 「ザ・ハウス」は、フレドリックブラウンが1960年に発表した、
たった3ページのショートストーリーである。しかしそれは、多くのな
ぞに満ち、外見上、意味が氾濫はんらんしている。
 SFFオーディオポッドキャストのジェセウィリスは、このストーリ
ーを読み解くキーがあるに違いない、と考えた。そのキーは数式だとい
う。その数式を発見したやつには10ドルの賞金を出すそうだ。しかし、
オレはキーは存在しないと思う。もしもキーが見つかってしまったら、
ストーリーは台無しになってしまうだろう。
 
 仮説:キーは存在しない。
 




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                            (つづく)
                             
                             
                             
                             
                             
                             
               (つづきは、メインページで公開中)
 
 
 
 



 

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        著者について
 
 フレドリックブラウンは、1906年10月29日シンシナティで新
聞記者の息子として生まれた。両親は高校生の頃に亡くなった。192
2年に卒業し、その後、オフィスで働いていた。その経験は1958年
の小説「ザ・オフィス」のベースとなった。ハノーバーカレッジ、およ
びシンシナティ大学に通い、1929年に最初の妻ヘレンと結婚した。
ふたりの息子、ジェームズとリンをさずかった。1930年代の初めは生
活が苦しく、ブラウンはもらえる仕事はなんでもした。おもにオフィス
ワークが多かったが、皿洗い、バスの車掌、探偵の仕事もした。この頃、
ミルウォーキー作家組合に参加し、書くことを始めた。おもに、ユーモ
ラスなショートストーリーだった。1937年にミルウォーキージャー
ナルの校正係の仕事を得て、1945年まで続けた。
                            (つづく)
                             




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        作品について
         ¶パート1=詩§
         ¶パート2=ノンフィクション§
         ¶パート3=シナリオ§
         ¶パート4=ノベル§
         ¶パート5=ショートストーリー§
         ¶パート6=短編集§

¶パート1=詩§
 
発酵したインク:10の詩、自費出版1932年
    内容:「太りすぎのふくろうに捧げる歌」「間奏曲」「ギフト」
    「聞きなれないセレナーデ」「モダンメロディ」「ラプソディ」
    「傲慢ごうまん」「ロマンス」「ミッドナイトソナタ」「寝坊」
シャドースーツ:15の詩、自費出版1932年
    内容:「赤ワイン」「ハーレムの子守唄」「忘却のためのプレ
    リュード」「シャドーダンス」「反映」「ありえない疑問」
    「エピック」「アイドル」「船荷ふなに」「不死」「牡蠣か きさめ」「憎

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    しみの賛歌」「街灯を巡る戦い」「贖罪のしょくざい祈り」「死の舞踏ぶとう
「トレイシーの前奏曲」、アメリカ詩マガジン35巻2号1954年
「手」、アメリカ詩マガジン35巻3号1954年
その他の詩:
    「アルマゲドンの後」
    「すべてのものが奇妙、ぼんやりとしか見えない」
    「フィナーレ」
    「オレは嘘つき」
    「メンスサナ」
    「無敵の王メルエンプタハ」
    「リュートで愛を歌うスカラムーシュ」
    「オレのために歌を、愛の、あんたの口びるで」
    「ソロモン、ソロモン」








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¶パート2=ノンフィクション§
 
「校正係のページ」、アメリカ印刷誌1937年3月〜46年11月
「クレジットで飲食店売上アップに」、飼葉袋1937年5月
「プレスルーム最前線」、アメリカ印刷誌、日付不詳
「校正資料室」、アメリカ印刷誌、日付不詳
「スーパーマンのあとは?」著者&ジャーナリスト1940年10月
「なぜ選んだ?ナッシングシリウス」マイベストSF1940年
「全球凍結フロゲル星」について、海外SF1950年10月
「手のなかの宇宙」について、1951年
手紙1952年6月14日付等、『終わり良ければ』1990年に収録
序章と7つの前書、SFカーニバル1953年
「プロットをどこから得るか」、ライターズヒント1953年3月
「F・ブラウンは言う」、『人間?』ジュディスメリル編1954年
序章「エンジェルとスペースシップ」1954年
手紙1963年11月17日付、『バークにまかせろ』の原稿について
「SFの定義」「ファンタジー&サイエンスフィクション」1963年
「それがすべて」ゴリアード836、1965年4月
手紙1964年6月22日付、ロジャーヴァディム監督の電話について
「火星での結婚」『火星での結婚生活』1986年に収録

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¶パート3=シナリオ§
 
「人類おもしろ話」、「最後の火星人」に基づく、ヒッチコック劇場1
959年5月24日放送、「ピックドパンクス」1991年に収録
「ミラー」、未発表短編「ミラー」に基づく、未発表シナリオ
「地球報告」1952年6月付、『終わり良ければ』1990年に収録
「女の2つの顔」、『終わり良ければ』1990年に収録



¶パート4=ノベル§          エド&アム◇   ◆SF
 
1947年 ファブクリップ                ◇
1948年 デッドリンガー                ◇
1948年 殺しは愉快
1949年 ファマドユニヴァース             ◆
1949年 血だらけの真夜中               ◇
1949年 悲鳴をあげるミミ
1950年 友人のあいさつ                ◇
1950年 キャンドルがやって来る

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1950年 ジャバウォックの夜
1951年 踊るサンドウィッチの場合
1951年 死はいくつものドアを持つ           ◇
1951年 遠い悲鳴
1952年 みんなに殺されたグランドマ
1952年 ディープエンド
1953年 マッドボール
1953年 天の光はすべて星               ◆
1954年 彼の名は死
1955年 火星人ゴーホーム               ◆
1955年 死んだ売春婦
1956年 情け深い野獣
1957年 宇宙の一匹狼                 ◆
1958年 ザ・オフィス
1958年 ひとりドライブ
1959年 死んだ夫                   ◇
1959年 スリーワンツーとノックせよ
1961年 マインドシング                ◆
1961年 マーダラー
1962年 悪夢の5日間

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1963年 ミセスマーフィーのアンダーパンツ (160頁)◇
1987年 ブルーモンスター (100頁8章までの遺稿) ◆








¶パート5=ショートストーリー§
 
1936年
「ミュンヒドリラーの真空報復」、ミシガンドリラー9月
「ビジネスはブーム」、掘削技術11月
1937年
「すべてに疲れた」、掘削技術2月




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¶パート6=短編集§
 
1951年
「手のなかの宇宙」
内容:著者序章、「緑の世界」「危機、1999」「空のパイ」「ノッ
ク」「アンドロメダUの来訪者」「白日夢」「ナッシングシリウス」
「ミットキーあらわる」「さぁ愉快に行こう」
1953年
「ほとんど殺し:18の物語」
内容:「笑う肉屋」「4人の盲」「世界が終わる夜」「映画は巡る」
「叫びと沈黙」「ドンアリスティッドの鼻」「背後の声」「ミス暗闇」
「キャサリーン、またノドを切り裂きに行くよ!」「町求む!」「かつ
て最も偉大な詩」「盗むのが難しい小さなリンゴ」「ここは出口」「小
さくて白いライ」「危険な人々」「カイン」「リリーの死」「うしろを
振り返るな!」
「SFカーニバル」ブラウン・マックレイノルズ共編
内容:ブラウンの作品は「パラドックスロスト」のみ。
1954年
「エンジェルとスペースシップ」
内容:序章「パターン」「おかしな星プラセット」「ファイナルアンサ

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ー」「エタオイン騒ぎ」「非常識」「アルマゲドン」「挨拶」「ヴァヴ
ェリ」「すい星はさりゆくとも やがて きたらむ」「帽子の手品」
「探索」「不死鳥への手紙」「フランス菊」「ミミズ天使」「死刑宣告」
「イェフディの法則」「唯我論者」
1958年
「地獄へハネムーン」
内容:「地獄へハネムーン」「効きすぎ」「選ばれた男」「ミレニアム」
「ドーム」「ヴァンパイア」「鏡の間」「気まぐれ」「最後の火星人」
「歩兵」「ねずみ」「あたりまえ」「土人の魔術」「闘技場」「地球人
は出ていけ」「タイムマシン第1号」「かくて神々は笑いき」「武器」
「スポンサーから一言」「翼のざわめき」「空想せよ」
1961年
「悪夢とギーゼンスタック家」
内容:「ナスティ」「アボミっぽい」「エコーバック」「グレーの悪夢」
1963年
「シャギードッグとほかの殺し」
内容:「シャギードッグ殺し」
1968年
「白日夢」
内容:「暗闇への門」「白日夢」「さぁ愉快に行こう」「ミミズ天使」

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「ミットキーあらわる」「ミットキーふたたび」「地獄へハネムーン」
「空のパイ」
 
 
 
 
 
 
 
 
                            (つづく)










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        詩について
 
 ノベル2作目の「デッドリンガー」で、エド&アムハンターは、ロン
スタッフォルドの過去を調べるためにシンシナティへ行った。彼は小人
で、3人が働くカーニバルで旅しているあいだに殺されてしまったのだ。
旅の前、スタッフォルドは、アムがカーニバルの以前からの古い知り合
いのフロツェンスキーがやっている下宿屋に住んでいた。スタッフォル
ドについて分かってることはほとんどなかったが、フロはアムに、彼の
所持品のトランクを見せた。そこには彼の死のヒントになる手がかりが
あるかもしれない。
 トランクには、小人サイズの服とタイプライター、紙の束があった。
紙の束を調べると、小人のカーニバルパーフォーマーが残した、おそら
く誰にも読まれることのない詩があった。アムはすぐにこう評価する。
「偉大な詩とは言えない。いくつかは思ったよりもおもしろいが」たま
たま読んでしまった者として、アムの評価は正しい。それらの断片は偉
大な詩ではない。しかし、いくつかは、フレドリックブラウンが前に自
費出版した詩を含むことで、注意する必要がある。彼のキャリアの間、
私的に書き続けてきた詩のテーマにも近い。ブラウンの詩は、詩人とし
て認められようとして書かれたものではないが、その多様性、そのテー

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マ、その後の仕事と関わる土地柄について、注目する価値がある。初期
の詩の多くは中西部の生活で経験した大恐慌のイメージにあふれ、その
印象はとても強烈だった。
 ニュートンベイアードは、自分の文献リストにブラウンの詩集を2つ
挙げている。その2つは、1930年代の初期に同時期に出したものだ。
「発酵したインク:10の詩」は、そのままよみがえって、1987年
ブルーモンスター」に収録されている。ベイアードは、未亡人エリザ
ベスの手紙を引用している。そこには詩集を自費出版した経緯が書かれ
ている。
 
               ◇
 
フレッドは印刷ショップで、活字の組版や校正係として昼間は働き、夜
は店長の許可を得て、活字を元に戻しておくなら、自分の私的な印刷に
使用してよいことになっていた。(注釈付き文献リスト、44ページ)
 
               ◇
 
 『発酵したインク』の最初の詩「太りすぎのふくろうに捧げる歌」は、
軽いクリップ調で、1行5音節を越えないイメージ調で書かれている。

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太りすぎの ふくろうに 捧げる歌
 
太りすぎの ふくろう
遠ぼえも
うなることも しない
飛ぶとき
目の中の 光
またたきも
ウィンクも しない
止まり木から
ねずみへ向かって
滑空かっくうも しない
夜に
うまく いった?
 
そいつは しゃべらず
歩かず
わず
卵を 抱かず

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交わらず
おこらさず
こまらさず
それが いつものこと
しかし その夢は
きっと いっぱい
(あるとしたら)
 
               ◇
 
 
 
 
                            (つづく)







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        SFノベルについて
 
 「マインドシング」の初版は、ペーパーバックで出版されたが、評論
家からはほとんどなんの関心も持たれなかった。唯一「アナログ」の前
向きなレビューは、「これは、ハリウッドの頭の良い監督なら、ストレ
ート小説として映画化しただろう」と言っている。ノベルは、外見上は、
アルフレッドヒッチコックが映画化しそうな話だったが、そこからはな
にもやって来ない。わすかなSFとしての批評以外では、「マインドシ
ング」は、重要なメッセージや読む価値を含みながらも、注目されるこ
とはなかった。
 「マインドシング」のあとは、フレドリックブラウンはSFノベルを
存命中に出版することはなかった。彼の作家としてのキャリアはほとん
ど終わりに差し掛かっていて、健康状態が書くことを不可能にする前に、
2・3のミステリーノベルを書いただけである。
 しかしながら、フレドリックブラウンは次のSFノベル「ブルーモン
スター
」を書き始めていた。書くのをあきらめる前に、100ページま
で書いた。この未完成ノベルは、1987年にペーパーバックサイズの
ハードカバーでそのまま限定出版された。ハリーアシュラーの序章は経
緯を説明している。アシュラーはツーソンのブラウン家を1970年と

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1971年に訪れた。フレッドの気腫きしゅは「なにをするのも不可能にして
いた。起き上るだけでも全エネルギーが必要で、別の室へ行くことさえ
もそうだった」、さらに視力は「崩壊していた」(6〜8)、彼は19
65年までに、「ブルーモンスター」を、書き終えていたが、その先を
書かなかった。彼はハリーに原稿を読ませ、後に手紙で、「もう完成さ
せられないので」手を入れて完成させてくれと言っている。テーマは、
どういうものだったのか見てみよう。テーマをプロットに沿ってじっく
り展開できれば、物語を完成させられる。
 
               ◇
 
 物語は、サイコ殺人鬼、ウォルターフレモントが収容されている、犯
罪的精神疾患リハビリセンターから始まる。
 
 
 
                            (つづく)




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